はじめに
機構や構造物におけるほとんどの振動・騒音の問題が、共振に起因していることはよく知られている。このような場合、全系にインパルスハンマの打撃が伝わるような加振点:i を選んで、一定方向を打撃した際の加振力:Fi
と構造物表面の任意の応答点:j の加速度:
を表面全体の3方向について計測して、FFTアナライザと実験モード解析ソフトウェアを用いて解析するとコンピュータの画面にこの構造物表面の振動挙動がアニメーションで表示される。
多くの伝達関数のピークから、固有振動数、振動モード、減衰係数などのモーダルパラメータも同定できる。
このとき、我々は、振動が多くの共振波形の集合であることを目の当たりに見ることができ、実験モード解析の真価と偉力に気付く。
筆者の専門は実験モード解析ではなく、単なる利用者に過ぎないが、実験モード解析について興味のあった若干の事項を以下に列挙してみた。
1. ビルディングブロック法(BBA)の出現
2. モード座標系の威力
3. 最近のモード解析技術とODS (稼動時たわみ形状)
4. エンジンの実験モード解析事例
なお、初心者には以下の参考書をおすすめしたい。
1)大久保 信行 機械のモーダルアナリシス 中央大学出版部
2)長松 昭男 モード解析入門 コロナ社
3)安田 仁彦 モード解析と動的設計 コロナ社