快音化の研究の一つとして紹介されたのが超音波スピーカー。指向性が極めて強く、必要な範囲にだけ音を伝えることができるものです。既に寺院や博物館で用いられ、静かな環境を保つことに役立っています。
さらに騒音そのものを打ち消してしまおうという実験も行われています。交通量が多い道路の遮音壁の上部に特殊なスピーカーを並べ、騒音と同じ音を位相をずらして出すと、音が打ち消しあい小さくなるです。
一方、家庭では新たな騒音問題が発生しています。家屋の遮音性が向上したため、外部からの音が減った反面、これまで気にならなかった家の中の家電製品などが新たな騒音源になっているのです。密閉性が高い部屋では、こうした音が反響する残響時間も長くなります。住宅メーカーでは、音のストレス減らすために、防音材や遮音カーテンなど、様々な取り組みを始めています。
そして家電メーカーでは、家電製品の音を減らすだけではなく、人間が気持ち良く感じる「快音」に変えようという新たな研究が進んでいます。音響シミュレーターと呼ばれる装置を用い、製品の設計段階から、「快音」になるように形や構造を工夫しています。あるメーカーでは、掃除機に部品を工夫して、「快音」に変えることでヒット商品を生み出すことに成功しました。
戸井教授が専門ゲストに迎えられ、騒音対策から、人間にとって心地よい快音をめざす最新研究を紹介しました。
|